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NM-1
Neutral Maker for Electric Power
Steering
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YouTubeにテスト車両を使ったNM−1の効果の動画を載せました。
こちらも併せて、是非ご覧下さい。
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補足
操舵フィーリングの中で最も重要な
オンセンタ−フィール (直進走行感)について |
1.オンセンタ−フィール(直進走行感)
2.油圧パワーステアリング(HPS)
3.電動パワーステアリング(EPS)
4.片勾配(水勾配、カント)
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1.オンセンタ−フィール(直進走行感)
( On-Center Feel )
車両を運転するに当たって、走行距離の99%以上と言われる、
直進走行時の操舵フィーリングは最も重要なものの一つであり、
オンセンタ−フィールが感じられる車両は、とても安定した楽な運転ができます。
まず、車両が、ほぼ直進しているとされる、ヨーレート(旋回角速度)が 1 deg/s 以下の範囲を
オンセンタ−領域と呼び、この領域で走行していることを、目で見なくても、ステアリングホイール
の手応えから感じられる操舵フィーリングをオンセンタ−フィール(直進走行感)と呼びます。
そして、このオンセンタ−フィール(直進走行感)を感じることができる操舵機構は、
次の2つの特性を持ちます。
(1)直進時は、微小な操舵が小さな操舵力で滑らかにできる。
(2)直進時にステアリングホイールを左右いずれかの方向に操舵すると、
セルフアライニングトルク(SAT)によって、
操舵角の増減に応じて操舵力がリニアに増減し、
旋回中にステアリングホイールから手を離すと、
車両自ら、ヨーレート1deg/s以下の、ほぼ直進する状態まで戻る。
オンセンタ−フィール(直進走行感)は、以上のようなものですが、
旋回している時にステアリングホイールから手を離したときに、
ステアリングホイールが直進位置にどれほど近くまで戻るかを知るだけでも、
その車両の特性がおおよそ判断できます。
「NM−1 効果 2−3走行中の効果例」をご覧下さい。
( ↑ 画像クリックで拡大します。)
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左図は、一定速度で蛇行運転したときの、
操舵角SAに対する操舵トルクTSおよび
ヨーレートYRの一般的な変化の様子を示す
ものです。
赤矢印→は切込方向、緑矢印→は戻し方向
です。
尚、同じヨーレートでも、
回転半径は車速によって変化します。
(例)
車速が秒速10m/sec(時速36km/h)の場合に、
ヨーレートが 1 deg/s 以下になるのは
約573m (≒ ( 10 m/sec x 360 deg ) / 2π) より
大きい半径で旋回するときです。
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上図で、赤紫色(マゼンタ)の特性のものは、
オンセンターフィール(直進走行感)は感じられますが、
青色破線の特性のものは、EPSと操舵機構の摩擦力が大きいため、
旋回中に操舵力を無くしても直進まで戻らず、直進に戻すための修正舵が必要です。
そのため、操舵フィーリングに違和感を感じます。
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2.油圧パワーステアリング(HPS)
(1)油圧パワーステアリングの性能
一般的に油圧パワーステアリング(HPS)は、オンセンタ−フィールを感じられる言われて
いますが、直進時のステアリングの動きは、どの程度なのかを理解できるのが下図です。
下図は、HPSの車両が直進しているときのステアリングホイール角(赤線)とピニオン角(青線)を
示します。
ステアリングホイールとピニオンの位置関係は下記の油圧パワーステアリング基本構造図を
参照して頂きたいのですが、この図から次のことが分かります。
@ステアリングホイール角の変化は±0.5deg以下、ピニオン角の変化は±0.3deg以下であり、
いずれの変化も非常に小さな値です。
一般的なステアリングホイールの外径が直径350mm程度ですから、
ステアリングホイール外周部が動く幅としては約3mm p-pです。
Aステアリングホイールとピニオンの間には、捩れやすいトーションバーがあるにも関わらず、
ピニオン角はステアリングホイール角の小さな変化にも正確に追従しています。
上記の@、Aから、油圧パワーステアリングの車両は、
セルフアライニングトルク(SAT)の働きにより、車両が自ら直進しようとしていること、
また、油圧パワーステアリング内部の抵抗が小さく、操舵機構が動きやすくなっていること、
などが分かります。
(2)油圧パワーステアリングでオンセンタ−フィールが感じられる理由
油圧パワーステアリン(HPS)グの場合は、ステアリングホイールからの操舵力が無く、
トーションバーが捩れていないときは、油圧シリンダ内のピストンの両側のR室とL室は
コントロールバルブ内で油路が通じているため、
ピストンの動きが遅い範囲では、油圧機構は操舵機構の動きにとって大きな抵抗には
なりません。
あたかも油圧アシスト機構を持たない操舵機構と同じ状態になっているからです。
(注)
このことは、ジャッキやリフトで油圧パワーステアリング車の両前輪を地面から離す状態にすると、
エンジンが動いている状態でも、電動パワーステアリング車よりも小さい力で、前輪を手で動かす
ことができることにより知ることができます。
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左図は、油圧パワーステアリング
装置(HPS)の基本構造図です。
操舵力が無く、トーションバーが
捩れていないときは、 ピストンは
左右どちらの方向にも 自由に
動けるので、
小さなセルフアライニングトルク
(SAT)でも操舵機構が直進方向
に動きます。
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下図はコントロールバルブの切換機能の説明図です。
トーションバーが捻れると、ピニオン側に取り付けられたスリーブとステアリングホイール側に
取り付けられたローターの回転角度位置の関係が変化し、操舵アシストの状態を切り換えます。
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ステアリングホイールを時計方向
CWに操舵すると、
油圧ポンプからの油圧はR室に
加わり、車両が右旋回する方向
に操舵アシストします。
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ステアリングホイールをどちら
方向にも操舵しないなど、
トーションバーの捩れが小さく
なるとR室とL室は通じた状態
になり、
どちらにも油圧は等しく加わる
ため、
ピストンは油圧の高低に関わらず
左右どちらの方向にも自由に
動けるようになります。
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ステアリングホイールを反時計方向
CCWに操舵すると、
油圧ポンプからの油圧がL室に
加わり、車両が左旋回する方向に
操舵アシストします。
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3.電動パワーステアリング(EPS)
電動パワーステアリングの操舵フィーリングは、車両によって差はあるものの、
オンセンタ−フィールを感じられるものは無いと考えます。
その理由は、良好なオンセンタ−フィールは、前輪によるセルフアライニングトルク
(SAT)によって、操舵機構を直進方向にする動きと、ステアリングホイールで感じる
その手応えなのですが、
従来の電動パワーステアリングの操舵アシスト機構の内部には、大きな摩擦力が
生じる摺動部があって、その摩擦力が操舵機構の動きを止めるように作用します。
そこで、それを改善するために各種センサーや高度な理論でアシストモータの
制御を工夫するのですが、ほぼ直進する時には操舵アシストはしませんので
アシストモータは静止摩擦の状態の状態で停止しています。
そのため、この停止しているアシストモータを制御することによって、
どちらに動くか分からないステアリング軸の動きに対して、
摩擦力による影響を無くすことは不可能だからです。
そして、このアシストモータの制御だけによって解決するいう、不可能な方法に
拘って努力し続けたことが、誕生してから30年以上経過しているのに、
今でもオンセンターフィールを感じられるEPSが無い理由です。
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左図は、電動パワーステアリング
装置(EPS)の基本構造図です。
操舵アシスト機構内の摩擦による
ステアリング軸を止めようとする
EPS摩擦トルクは大きいので、
ほぼ直進するときの
前輪からの小さなSATでは、
ステアリング軸は動きません。
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4.片勾配(水勾配、カント)
道路が傾いていれば、どの車両でも路面の低い方向に行こうとするのですが、
電動パワーステアリングでオンセンタ−フィール が感じられるか感じられないかは、
平らな道路を真っ直ぐ走るときだけでなく 道路が幅方向に傾いている場面でも、
その操舵方法に差があります。
・直進時
直線道路では水溜まりができないように水勾配が設けられています。
そのため、左側通行の日本では、走行中の車両は少し左に流れようとしますが、
オンセンタ−フィールが感じられる車両では、右方向へ操舵する力を
増減するだけで容易に直進方向に保つように修正できます。
・旋回時
制限速度が少し高い一般道や高速道路には、
安全のため、カーブの外側を高くした片勾配が設けられています。
オンセンターフィールが感じられる車両は、道路に傾きが有ると、
タイヤが自らカーブの内側に曲がろうとするため、
ステアリングホイールもカーブの曲がる方向に自然に動こうとします。
以上のように、
オンセンターフィールが感じられない電動パワーステアリングの車両では、
常に右へ左へとギクシャクしたディジタル的な動きの操舵ですが、
オンセンターフィールが感じられる電動パワーステアリングの車両は、
常に滑らかなアナログ的な動きの操舵であり、楽に運転することができます。
そのため疲れも少なく安全です。
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