有限会社 レンテック
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NM-1
Neutral Maker for Electric Power Steering
補足


補足

操舵フィーリングの中で最も重要な
良好なオンセンタ−フィール (直進走行感)について

1.オンセンタ−フィール(直進走行感)
2.油圧パワーステアリング(HPS)
3.電動パワーステアリング(EPS)




1.オンセンタ−フィール(直進走行感) ( On-Center Feel )

 走行距離の99%以上と言われる直進走行時の操舵フィーリングは、オンセンターフィールと呼ばれ、
操舵フィーリングの中で最も重要なものです。

 まず、車両が走行している時に、ほぼ直進していると感じられるほど旋回半径が大きくて、
ヨーレートが 1 [deg/s]以下となっている、微小な操舵角の範囲がオンセンタ−領域であり、
この微小領域の操舵フィーリングをオンセンタ−フィールと呼びます。

 そして、良好なオンセンタ−フィールとは、車両が常に直進しようとする性質を持っていて、
車両が直進していることが操舵力から認識できる、 次の2つの特性を持つ操舵フィールです。

(1)旋回中にステアリングホイールから手を離すと、
   セルフアライニングトルク(SAT)によって、車両自ら、ほぼ直進する位置まで戻る。

(2)直進時にステアリングホイールを左右いずれかの方向に操舵すると、
   操舵力が操舵角に応じてリニアに増加する。


 良好なオンセンタ−フィールは、以上のようなものですが、旋回している時にステアリングホイールから
手を離したときに、 セルフアライニングトルク(SAT)によって、操舵機構が直進位置にどれほど近くまで
戻るかを知るだけでも、その良否の程度がおおよそ判断できます。
「NM−1 効果 2−3走行中の効果例」をご覧下さい。

 ( ↑ 画像クリックで拡大します。)

 左図の青線は、一定速度で蛇行運転したときの、
 操舵角SAに対する操舵トルクTSおよび
 ヨーレートYRの一般的な変化の様子を示す
 ものです。
 赤矢印は切込方向、緑矢印は戻し方向です。

 オンセンタ−領域は、 ヨーレートYRが
  -1 ≦ YR ≦ +1 [deg/s]の範囲です。

 尚、同じ横軸の操舵角SAとヨーレートYRの
 関係は、車速によって変化します。
(例)
 車速が秒速10m/sec(時速36km/h)の場合に、
 ヨーレートが 1 [deg/s]以下になるのは
 約573m (≒ ( 10 m/deg x 360 deg ) / 2π) より大きい
 半径で旋回するときです。

 図中の範囲Bは、主にEPSと操舵機構の摩擦力によるもので、この値を小さくすることによって、
操舵機構の動きが滑らかになると共に、範囲Aも小さくなって、旋回からの直進戻りが良好になります。

弊社の「NM−1」は、EPSの摩擦による範囲Bを激減させることによって、範囲Aを限りなく小さくするもの
です。


  


2.油圧パワーステアリング(HPS)

(1)油圧パワーステアリングの性能

 一般的に油圧パワーステアリング(HPS)は、良好なオンセンタ−フィールだと言われていますが、
どの程度なのかを理解できるのが下図です。

下図は、HPSの車両が直進しているときのステアリングホイール角(赤線)とピニオン角(青線)を示します。
ステアリングホイールとピニオンの位置関係は下の油圧パワーステアリング基本構造図を参照して頂きたい
のですが、この図から次のことが分かります。

@ステアリングホイール角の変化は±0.5deg以下、ピニオン角の変化は±0.3deg以下であり、
 いずれの変化も非常に小さな値です。
 一般的なステアリングホイールの外径が直径350mm程度ですから、
 ステアリングホイール外周部が動く幅としては約3mm p-pです。

Aステアリングホイールとピニオンの間には、捩れやすいトーションバーがあるにも関わらず、
  ピニオン角はステアリングホイール角の小さな変化にも良く追従しています。

 上記の@、Aから、油圧パワーステアリングの車両は、
セルフアライニングトルク(SAT)の働きにより、車両が強く直進しようとしていること、
また、油圧パワーステアリング内部の抵抗が小さく、操舵機構が動きやすくなっていること、
などが分かります。

 ( ↑ 画像クリックで拡大します。)





左図は、下記の論文から利用させていただきました。
興味深い論文なので、是非、ご一読ください。
皆川正明、ほか: 「電動パワステアリングのセンタフィール向上へのMasing摩擦モデルの応用」
自動車技術会論文集 Vol.50, No.5, September 2019, p1390 - 1395



(2)油圧パワーステアリングのオンセンタ−フィールが良好な理由

 この理由は、 ステアリングホイールからの操舵力が無く、トーションバーが捩れていないときは、
油圧シリンダ内のピストンの両側のR室とL室はコントロールバルブ内で油路が通じているため、
ピストンの動きが遅ければ移動する油の抵抗も小さいので、油圧機構は操舵機構の動きにとっては
大きな抵抗にはなりません。 あたかも油圧アシスト機構を持たない操舵機構と同じ状態になっている
からです。

(注)
 このことは、ジャッキやリフトで油圧パワーステアリング車の両前輪を地面から離す状態にすると、
 エンジンが動いている状態でも、電動パワーステアリング車よりも小さい力で、前輪を手で動かす
 ことができることにより知ることができます。

左図は、油圧パワーステアリング装置
(HPS)の基本構造図です。

操舵力が無く、トーションバーが捩れて
いないときは、 ピストンは左右どちらの
方向にも 自由に動けるので、
小さなセルフアライニングトルク
(SAT)でも操舵機構が直進方向に
動きます。





 下図はコントロールバルブの切換機能の説明図です。
トーションバーが捻れると、ピニオン側に取り付けられたスリーブとステアリングホイール側に取り付けられた
ローターの回転角度位置の関係が変化し、操舵アシストの状態を切り換えます。
ステアリングホイールを時計方向
CWに操舵すると、
油圧ポンプからの油圧はR室に
加わり、車両が右旋回する方向に
操舵アシストします。

ステアリングホイールをどちら方向
にも操舵しないなど、
トーションバーの捩れが小さくなると
R室とL室は通じた状態になり、
どちらにも油圧は等しく加わるため、
ピストンは油圧の高低に関わらず
左右どちらの方向にも自由に動ける
ようになります。

ステアリングホイールを反時計方向
C
CWに操舵すると、
油圧ポンプからの油圧がL室に
加わり、車両が左旋回する方向に
操舵アシストします。




3.電動パワーステアリング(EPS)

 電動パワーステアリングの操舵フィーリングは、
車両によって差はあるものの、
良好なオンセンタ−フィールのものは無いと考えます。

 その理由は、良好なオンセンタ−フィールは、前輪によるセルフアライニングトルク(SAT)に
よって、操舵機構を直進方向にする動きと、ステアリングホイールで感じるその手応えなのですが、
従来の電動パワーステアリングの
操舵アシスト機構の内部には、大きな摩擦力が生じる摺動部があって、
その摩擦力が、操舵機構の動きを止めるように作用して、オンセンタ−フィールを悪化させますが、
各種センサーや高度な理論でアシストモータの制御を工夫しても、直進時には操舵アシストはしませんので
アシストモータは停止しています。そのため、停止しているアシストモータを使って、 この摩擦力による
影響を無くすことは不可能
だからです。

 そして、この不可能な方法に拘って解決しようと努力し続けたことが、誕生してから30年以上
経過しているのに、 今でも良好なオンセンターフィールのEPSが無い理由です。


左図は、電動パワーステアリング装置
(EPS)の基本構造図です。


操舵アシスト機構内の摩擦による
ステアリング軸を止めようとする
EPS摩擦トルクは大きいので、
ほぼ直進するときの
前輪からの小さなSATでは、
ステアリング軸は動きません。