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  「NM-1」 テスト車両
ミラ トコット静音化



 1.「NM−1」テスト車両
 2.ミラ トコット静音化




1.「NM−1」テスト車両

 近年の車は、殆ど全ての車両が電動パワステになりましたので、普通車(登録車)、
軽自動車、車両価格の高低に関わらず、良好なオンセンタ−フィール(直進走行感)や
ステアリングインフォメーションを感じられる車は、ほぼ皆無ですが、
安価な軽自動車のミラ トコットでも、「NM−1」を取り付ければ、高額車を越えた、
快適な操舵フィーリングに変わります。

ミラ トコット G”SA V”
 トコットは、比較的安い軽自動車ですが、カーテンシールドエアバッグを全グレード、スマートアシストVをぼぼ全グレードに装備するほか、四角いボディー形状、角度が立って視界を遮らない デザインのAピラーなど、車両周辺が目で確認し易く、さらに、パノラマモニターは安価に取り 付け可能など、色々な面から安全に配慮されている優れた車です。
さらに下記の静音化ができれば、機能的な不満はほぼ解消されます。







2.ミラ トコット静音化

 ・目次

   (0)はじめに
  (1)カウルトップ カバー
  (2)フューエル&エバポ パイプ
  (3)エバポ パージ VSV
  (4)ダッシュパネル アウター インシュレーター
  (5)エンジン コントロール ユニット (ECU)
  (6)ボンネット クッション
  (7)コラム カバー
  (8)ボンネット解除レバー奥コネクター
  (9)リア シートベルト リトラクター
  (10)リアシート
  (11)その他

  (12)使用材料

   上記の番号は作業の順番を示すものではありません。
   とりあえず(7)、(1)、(2)の課題が解消されるとストレスは可成り小さくなります。

   尚、ここでは「ミラ トコット」の例で説明していますが、
   「ミラ イース」など、ダイハツ車であれば同様の構造になっている箇所が多いので
   他の車種でもご参考になるものと思います。











(0)はじめに

 ここで紹介する内容は、弊社のテスト車両だけの固有の症状かも知れませんし、もしかして、メーカーもユーザーも 「軽自動車は、この程度で問題無い」と判断しているのかも知れませんが、テスト車両のミラ トコットは、ハーシュネスの特性に関しては、かなり劣るように思います。

 ハーシュネス(注1)と言うと、通常は、舗装路の継ぎ目や段差など、ある程度大きな突起を 通過したときの衝撃音と振動について論じられることが多いですが、トコットの場合は、それ以前に、通常の滑らかなアスファルト舗装の道路では静かなのですが、近年その施工が多くなった排水性舗装や透水性舗装(注2)など、小さな突起が連続している 道路を 20km/hで走行する程度でも、その間ずっと、不快なビビリ音が賑やかに発生します。

 そこで、弊社では各種の対策を行い、上記のビビリ音を抑制し、かなり静音化しました。しかし、トコットは、価格を抑えることと、重量を軽くするため、制振材や遮音材が少ない、 また、重量が720kgと軽いことと、タイヤ空気圧が260kPaと高いので、車体が振動し易いなど、不利な条件が重なっているので、騒音計の計測値が大幅に小さくなるという意味での静音化では無いですが、不快な音が少し無くなるだけでも、 気持ちが良いですし、ひとクラス上の
車に変わったような気分になります。

 以下は、同じトコットを所有されていて、同様な症状で不快な思いをされている方へ、ご参考になればと思い、弊社で行った対策のご紹介です。


(注1)自動車の快適性は、NVHの3項目で評価されます。

・騒音 (Noise) :ロードノイズや風きり音など外部から侵入する音
・振動 (Vibration) :エンジンなど、動いてる各部から発生する振動
・ハーシュネス (Harshness)

:立て付けの悪さが原因による不快な、ビビリ音やきしみ音



(注2)排水性舗装または透水性舗装の表面です。

 排水性舗装または透水性舗装の表面は、
 直径約1センチ程度の砂利を、「雷おこし」
 のように、アスファルトを絡めて押し固めて
 あります。
 水は砂利の間を通って流れるため、
 水たまりができなようになっております。

 写真下側は側溝のコンクリート部分です。




(1)カウルトップ カバー
 カウルトップ カバーは、下のカウルトップ カバー断面図の上側の図のように、
ボディーが上下振動をすると、カウルトップ カバーも上下に振動し、
ボディーのとの間が開いたり閉じたりして、それらが衝突するため、ビビリ音が発生します。
 そこで、下のカウルトップ部断面図の下側の図のように、
カウルトップ カバーとボディーとが衝突する部分に薄い@ソフトテープを貼り、
さらに、ボンネットに厚いAソフトテープを貼ることにより、
ボンネットがカウルトップ カバーをボディーに押し付けることによって、
二つが常に密着するようにします。

 

 最初に カウルトップ カバーの前側を上に持ち上げます。


(↑クリックで拡大します。)

 先ず、左右のサイドパネル ホールカバーの
 手前を指で強く上に持ち上げて
外します。

 指を入れる場所は下図を参照してください。

 次に、左右のクリップを外します。

 中央部の凹みを硬貨などで反時計方向に
 回しますが、
 外周部が回らないようにラジオペンチなどで
 押さえておきます。
 そして、カウルトップ カバーの手前下側の
 固定用ツメ(5ヶ所)を外します。

 ペンチなどで軽く挟みますが、折れやすい
 ので、右端または左端のツメから順番に、
 できるだけ変形を少なくして折れないように
 作業します。



 続いて、ビビリ音対策の@ソフトテープを貼ります。

(↑クリックで拡大します。)

 まず、カウルトップ カバーの前側を
 上に持ち上げます。

 次に、カウルトップ カバーの前側が
 ボディーに当たる全幅に@ソフトテープ
 貼ります。

 ここは、ビビリ音の発生する場所なので、
 互いに直に接触する部分が無いように
 貼ります。
 特に、段差部は見落としやすいので
 良く確認します。


 @ソフトテープを貼り終わると、
 カウルトップ カバーを元通り固定しますが、
 左右のクリップの押さえが少し緩いので、
 プラスチック板などで厚みが約2mmの
 ワッシャを作って挟みます。


 次に、Aソフトテープをボンネットの裏側に貼りますが、
正確にカウルトップ カバーの上面前部に取り付けられたカウルトップ シールラバーを
全幅で押さえる位置に貼ることは困難です。
(注:全幅で押さえないと一部に隙間が出来るため、雨水がエンジンルーム側に入ります。)
そこで、Aソフトテープの接着面を上にして、カウルトップ シールラバーの上に
セロテープなど接着力が弱いテープで仮止めをしておき、
その後、ボンネットを閉じることによって、ボンネットに貼ります。

 尚、 使用するソフトテープですが、
下記(14)使用材料の@とAを使用しましたが、これに拘る必要はありません。
ただし、Aソフトテープは、隙間が約15mmありますので、厚みは20mm程度は必要です。
また、材質ですが、耐久性が無いのでウレタン材は避けた方が良いです。




(2)フューエル&エバポ パイプ

 少し荒れた路面を走っているときにスピードメーター奥からガタガタ音がするのは、
車両後部のガソリンタンクからフューエル(燃料)とエバポ(燃料蒸発ガス)を送る
2本のパイプが揺れているのが原因です。

 そして、それらのパイプをダッシュパネルで支えているのが下記の写真で青色の
プラスチック部品ですが、これがキッチリ固定されておらず、カタカタ動く状態です。
 そこで、 2本のパイプとダッシュパネルとの間に@Aの2個のクッション材を
挟み込み
ます。

@のクッション材は、青色のプラスチック部品の動きを止めることはできますが、
パイプが動く力は強く、また、下側のどこかでパイプ同士が当たる場所があるようで、
カタカタ音は止まりません。
そこで、Aは凸部形状にし、中央の高い部分を2本のパイプの間に入れて、
パイプとダッシュパネルとの間に挟み込みます。
これにより、パイプの揺れを減少させ、2本のパイプを常に離れた状態にします。

 尚、下記の写真では@A共に、写真で分かり易いように白色のクッション材を使用して
おりますが、弾性があり、へたり難いものでしたら何でも使えると思います。
弊社では、下記(
12)使用材料のB発泡ゴムテープを使用しました。

 パイプのダッシュパネルとの距離は、
 フューエルとエバポのパイプで異なり
 ますので、クッション材の厚みは、
 パイプの距離に合わせて変えます。

 また、Aの取付位置はダッシュパネル
 アウター インシュレーターの下側の
 向かって右端を押さえるところにします。
 (インシュレーターを押さえる役目も
 兼ねます。)

*ご参考
 YouTubeに、この部分の様子が分かる「【ダイハツ】異音(ビビリ音)【ミラトコット】 」という
 動画があります。




(3)エバポ パージ VSV
 実際の効果はどの程度であるか分かりませんが、
グラグラした状態で取り付けられているので、念のための作業です。

 円筒形なため固定しづらいので、
 ダッシュパネル側の金具にタイラップ
 
(結束バンド)でシッカリ固定します。





(4)ダッシュパネル アウター インシュレーター
 エンジンルームとキャビン(客室)を隔てるダッシュパネル(隔壁板)のエンジンルーム側には断熱と遮音をするインシュレーターが取り付けられていますが、取付はダッシュパネルのネジに引っ掛けてあるだけで、強く密着していません。
 そのため、アクセルを軽く踏んで、ゆっくり加速を始めるときにエンジンが少し震えますが、その時、インシュレーターの端が振動して、パタパタとダッシュパネルに当たる音がします。

 この音が出ないように、インシュレーターの端をダッシュパネルにテープで止めておきます。
 (矢印の緑テープ)

 尚、この音が止まっても、エンジンの震えが無くなる訳ではありません。
 相変わらず、エンジンの震える音は聞こえます。






(5)エンジン コントロール ユニット (ECU)
 エンジン コントロール ユニット (ECU)本体は4本のネジで取付金具に取り付けられていますが、その取付金具はECUの下側だけでダッシュパネルに取り付けられています。
そのため、上記のダッシュアウター インシュレーターが振動すると同時にECUも揺れて、音程は低いですが、ビビリ音が発生します

 そこで、ECUとダッシュパネルの間にB発泡ゴムテープを入れて揺れないようにします。
これにより、エンジン音やCVT音が、濁らずスッキリ、気持ち良く、聞こえるようになります。

 厚みが約20mm程度の、発泡ゴムなどのクッション材をECUとダッシュパネルの間に押し込みます。
 場所は、コネクタより下で、ECUの上部にします。
 ECU背面の下側は、ヒートシンクになっており、また、大気を取り込むセンサの穴もあるようです。
塞がないようにご注意ください。

 ECUは、バッテリーの後の下側にあります。
 





(6)ボンネット クッション
 ボンネットは、車両前方の中央でロックされ、さらに、左右の高さを安定させるために、
車両前方の左右にボンネット クッションが設けられていますが、ボンネット ロック時に
ボンネットの左右がボンネット クッションに接していない場合は、走行時にボンネットが
揺れて音が出ます。
 そこで、ボンネット ロック時に、ボンネット前方の左右を手で下に押して、遊びが無いことを
確認します。
遊びが有る場合は、ボンネット クッションを回して高さを調整して、遊びが無いようにします。



 

  ボンネット クッションは、左右ほぼ同じ
 高さに調整しますが、ネジ部の嵌め合いが
 緩いので、フードを開けたときにウッカリ
 触ると回ってしまい、高さが変わっている
 場合が多いです。
  そこで、ボンネット クッションのネジ部
  に、配管の漏れ防止に使う、テフロン材の
 シールテープを巻いて、容易に回らない
 ようにします。




(7)コラムカバー
 運転者に一番近いコラムカバーは、ボディーが振動すると同時に、大きなビビリ音を発します。
そこで、EPSコントローラ(黒プラカバー部)とコラムカバー(下)の間を、広い面積で突張る
ように、布や発泡ゴムのパッドを強く挟むことによって、コラムカバーが振動しないようにします。

 左図は、コラム部をアクセルとブレーキの
 操作ペダル側からステアリングホイール
 側を見上げたものです。

 
 尚、布の場合は、振動で位置がずれない
 ように、外側を滑り止めシートで捲くと
 位置が安定します。

 





(8)ボンネット解除レバー奥コネクタ

 運転席の右横のボンネット解除レバーの奥に少し大きなコネクタが在りますが、
このコネクタの組み立て部にガタが有るため、振動すると、ビビリ音が発生します。

 コネクタ全体をソフトテープなど
 粘着テープで捲いて、ビビリ音が発生
 しないようにします。










(9)リア シートベルト リトラクター

 少しデコボコしたところを走るときに、後部から「コトコト」と原因不明の音がするときは、
車両右側 後方のリア シートベルト リトラクター(巻取器)の揺れが原因です。


(↑クリックで拡大します。)

 後部座席の背もたれを前に倒し、車両の
 右側のカバーを外します。
 クリップは、小さいものが8個、大きいもの
 が1個です。
 専用工具が無くても、マイナスドライバーで
 容易に外れます。


(↑クリックで拡大します。)

 シートベルト リトラクターは比較的重いもの
 ですが、下側にある一本の取付ネジで固定
 されているため、上側が揺れやすくなって
 います。
 そこで、リトラクターの右側とボディーの
 間に詰め物をして揺れないようにします。
 左写真は、赤矢印部に厚さ約20oの
 B発泡ゴムテープを入れました。
 
 *シートベルト リトラクターは、安全のため
  の重要な部品です。
  詰め物がリトラクターの動作の支障になら
  ないように、取付場所には充分気をつけて
  ください。
  




(10)リアシート

 リアシートの座面を上げると直ぐに板金シャーシです。
そして、この板金シャーシを軽く叩くと、太鼓を叩いたときのように音が響きます。
制振材を貼っても良いと思いますが、防音を兼ねて毛布のようなものを上に敷きます。
これによって、車両後部からのロードノイズが可成り小さくなるように感じられます。


(↑クリックで拡大します。)

 矢印の金属面を手で叩くと
 太鼓を叩いているように音が響きます。


(↑クリックで拡大します。)

 毛布のようなフワフワしたもので
 全体を軽く接触させて押さえるのが
 良いと思います。
 




(11)その他

 以上のビビリ音対策によって可成り静音化されると思いますが、
ネットで「車両 静音化」で検索をすると、すぐに出てくるのが下記の商品です。
ご参考までに、弊社で試用した結果です。

 ・  「エーモン 静音計画 ビビリ音低減モール ダッシュボード用」

   この商品をトコットに取り付けましたが、トコットには、この取付部の少し下側に
  同じ目的のクッションテープが既に貼られているため、
  その効果は感じられませんでした。


 ・ 「エーモン 静音計画 ロードノイズ低減マット(L) 約480×1300mm 1枚 2661」
    前席フロアマット下に使用します。
 ・ 「エーモン 静音計画 ロードノイズ低減マット(M) 約480×450mm 2枚 2660 」
    後席フロアマット下に使用します。

  測定器で測った訳ではないのですが、高い周波数の音が少なくなるようで、
  少し静かになったかな?と感じられました。
  予算が許せば、作業も簡単なので、試す価値はあります。




(12)使用材料

 下記の材料を使用しました。
 ・ @ 防水ソフトテープ  (幅)30mm x (厚さ) 5mm ニトムズ E0332 特殊発泡ゴム
 ・ A 気密防水パッキンテープ (幅)20mm x (厚さ)20mm トラスコ TWST2020
 ・ B 発泡ゴムテープ (幅)25mm x (厚さ) 20mm
    (少し硬めの発泡ネオプレンゴムですが、現在Amazonで販売されていないようです。)

 ・ 養生テープ
 ・ 滑り止めシート(100円ショップで購入)
 ・ ウエス